決断の時に聖句が


「レストランN」閉店のお知らせ、という葉書をもらって驚いた。レストランNとは、登戸エクレシアキリスト教会と懇意にしていただいているN教会のAさんご夫婦が経営されているレストランである。

葉書にある閉店の日までは1週間しかない。ここ は細君と16年前にデートを重ねた場所でもある。当時線路向こうに引っ越してきた細君が聖書に出て来る名前の店名に引かれて初めて入ったところ、クリス チャン経営の店だということが分かったというので連れて行ってもらった。かかっている音楽は心が落ち着く賛美歌やプレイズソング、壁に飾ってあるのは額に 入った星野富弘さんの詩と絵、店内の奥のカウンターでは奥様が席に腰掛けて大型の聖書を読んでいた。

当時は信仰の大先輩であるAさん御夫婦に見守ら れて、窓際の席を占領していつまでも喋っていた。最長は昼の14時に入って23時まで話し続けた事がある。何をそんなに長い間喋っていたのかとよく聞かれ るのだが、取りたてて特別な事はなく、ずっと話しが続いた。途切れたり、無理に話題を探したりということもなかったし、話していて楽しかった。この場所に 神様が働いていたからかもしれない。昼食をとり、コーヒーを頼み、夕食を取りなどしているのをイヤな顔もせずに見守ってもらい、最後にはお茶を出しても らった。

葉書には昭和33年開店以来49年間営業してき たが、店主の健康上の理由により、継続が難しくなったとある。以後は治療に専念し、回復を期したいと続いていた。JR南武線の中野島駅前に店はある。マサ イは毎日通勤電車の中から必ず見ていた。朝は電気がついていることで、あぁ早くからお店をやっているのだなぁと思い、帰りは晩くまでやっているのだなぁと 見ていたが、そこに灯りがついているだけでほっとした気分になれた。またその灯りには励まされるような温かさがあった。

最後になる前に挨拶を、と夜の水泳トレーニング を終えた息子も連れて3人で訪ねる。閉店日が近くなって明日からは予約でいっぱいだからそのしこみで早く店を閉めてしまった、という時間帯だったのだが、 快く店内に入れていただき、コーヒーとケーキを出してもらった。昔懐かしい窓際の指定席に座り、息子にここでパパとママがデートをしていたんだよと教え る。そんな場所がなくなってしまうのは寂しい。壁にかかっているレースで編んだイエス様を抱くマリアを息子は携帯電話についているカメラで撮っている。

礼拝や教会堂に誘っても敷居の高さを感じるよう な人たちを別の場所に呼んで、楽しい教会の雰囲気を味わってもらおうという集まりを考えた時に、土曜日の夜という時間を快く貸し切りにさせてくれた。ご主 人はギデオン協会の働きもされていて、その会員にどうかとお誘いいただき、ここでの集会にも一度参加させていただいた。いろいろなことを思い出す。

ご主人が忙しい中、席に来てくれてしばらく話 す。20才の頃に肺の手術をし、その時にした輸血でC型肝炎になった事、パウロの棘のようなものと思っていたが、その症状がひどくなりその治療で行う一日 おきの注射がレストラン続行を不可能にした事。小学6年生の時にドイツ人宣教師に招かれた席上にあったお寿司に強くひかれた事。中学の修学旅行に行くため にアルバイトをしていた鮨屋で気に入ってもらい、卒業後そこで修業を始めた事。親御さんがこの場所でうどん屋を始めたのだが倒れた為に呼び戻された事。そ のうどん屋が鮨屋になって、やがては時代に合わせて喫茶を兼ねた洋風レストランになって今に至る、と約50年の歴史を短く話して頂いた。

その長きに渡る歴史を閉じるにあたっては相当な決断がいたであろうと思ったのだが、聞くとそこにはやはり聖句があった。

レビ記25:8〜10
あなたは、安息の年を七たび、つまり、七年の七倍を数える。安息の年の七たびは四十九年である。
あなたはその第七月の十日に角笛を鳴り響かせなければならない。贖罪の日に、あなたがたの全土に角笛を鳴り響かせなければならない。
あなたがたは第五十年目を聖別し、国中のすべての住民に解放を宣言する。これはあなたがたのヨベルの年である。あなたがたはそれぞれ自分の所有地に帰り、それぞれ自分の家族のもとに帰らなければならない。

ここにあるようにまさに今年がその49年を過ぎ た「ヨベルの年」にあたる事に気付き、この聖句を読んで決心をした事。また国民年金なので、夫婦でもらえる手取金額ではこれからの生活がままならず、ゆく ゆくはここを誰かに譲るか、貸すかということを考えていたと言う。その時に自分たちがここを出てどこかへ移るのかどうかを相談していた時にも聖句から答え をもらったと話してくれた。

レビ記25:18
あなたがたは、わたしのおきてを行ない、わたしの定めを守らなければならない。それを行ないなさい。安らかにその地に住みなさい。

この「安らかにその地に住みなさい」という聖句に出会って問題は解決した。書いてある通り、現在の通り店の3階に住み、1.2階はテナントとして貸し出すことにしたと言う。

信仰の大先輩でもあるので、おだやかなとても暖 かい包み込むような笑顔で話してくれた。人生の重大な局面を迎えた時に、常に答えは聖書にある。神様はその答えを必ず用意してくれている、という話しを息 子も大きくうなずいて聞いていた。クリスチャンスイマーとして世にイエス様の光を輝かせて、と応援をしてもらった。

最後はご主人と一緒に祈ることが出来た。神様の 愛を感じさせてくれる心が温かくなる祈りだった。クリスチャンになって良かったなぁとしみじみと感じた瞬間であった。こんな素晴らしい方と出会えたことを 神様に感謝し、こんな先輩のような素晴らしいクリスチャンになりたいと思った。

ご主人の健康の回復と、これからのことを祈る。まだまだ元気でいてほしい大好きなご夫婦である。


戻る