信じてるって言ってるのに


小学5年生の息子が風邪をひいた。熱が38.5℃ある。

ただの風邪でしょ、で済ましてしまえそうだが、今の時期の我が息子にとって、これは一大事。

夏休み後の競泳の試合で基準タイムをクリア出来たので、今年も勤労感謝の日から3日間大阪で開催されるスイミングクラブグループの全国大会に出られることになった。去年は初めてだったで1種目での参加がやっとだったが、今年は個人2種目と、リレー1種目に出られる。

それに向けての最終練習を始める時に、コーチか ら注意があった。これから大会へ向けてハードな練習で体を作って行くので、大阪へ行く前に絶対に風邪をひいたり、体調を崩したりしないように。息子はタイ ムからして決勝戦に残る可能性が十分に有るので、コーチからも決勝に残るようにと言われた3人の中に入っていた。

調子も上がってきていたので本人も機嫌が良い。練習から帰って来た息子に「どうだった?」と聞くと、「調子が良かった」といつも明るく返事をしてくれていた。

それが土曜日の午後から別人のように元気がな い。咳も鼻水も出るわけではないが、寒いと言ってだるそうにしている。熱を計ったら、38.5℃あった。日曜日は朝のトレーニングを休んで寝かせておい た。体力があるので、いつもならゆっくり寝ていればすぐに治る。実際一晩にパジャマを何度か替えるくらい汗を出したので、翌朝には熱は一旦下がった。月曜 日は学校へ行く前に6時から朝練があったが、「辛かった」と帰って来た。しかし登校した後、グラウンドで皆とサッカーをしていたので大丈夫なのかと思って いた。

心配なので夕練を見に行く。力が全然入っていない。可哀想で見ていられないくらい、体が動いていない。冴えない表情で出てきた息子を、この体調でよく泳いだね、と迎える。

翌日はトレーニングが休みの日。夕方別のプールに自主練に行く予定だったが、学校も休んで医者に行く。また熱が上がっていた。その日は薬を飲んで寝かせておいた。翌日も学校は一日屋外での安全学習だというので休ませた。

普段元気な息子が3日間寝ていたので、夕方の練 習にはもう復活するだろうと思っていたが、4日間寝ていてゆるんだ筋肉はそう簡単には戻らない。帰ってきたのを期待をして迎えたが、息子の表情は冴えな い。「きつかった」という。細君に聞くと泳ぎも小さく、水がかけていないという。

マサイはこの時点で奈落につき落とされたよう に、気落ちして何もする気がしなくなった。今までこつこつ積み上げてきたものが完成直前に音を立てて崩れて行く。出発前に出来る練習はあと一週間しかな い。これを「まだ1週間もある」と捕らえるか、「1週間しかない」と捕らえるかで大きな違いが生じるのだが、後者でしか考えられない。

真暗に落ちこんでいるマサイを見て、細君は家族 で励ましてあげなければいけない時期なのにそんな顔をしているな、と言うが、食欲すら出ない。風邪を治して、体調を元通り戻して、より大きな筋肉を作って 行くというのに一体どのくらいかかるのだろう。何より体調を崩した息子は、気力までなくしてしまっている。

こういう時に信仰が試されるのよ。主に祈って、依り頼む時なのよ。自分の力に頼る事が出来ない弱い時にこそ、神様の栄光は現れる、自分が霊的に貧しいということを知っている人は、さいわいですって聖書には書いてある、と細君は2人を励ます。

コリント人への手紙15:43
卑しいもので蒔かれ、栄光あるものによみがえらされ、弱いもので蒔かれ、強いものによみがえらされ

マサイは決勝に残れるのは自分の力ではなく、主のおかげであると、常日頃おごり高ぶる事などほんのわずかでも思ったことはないのに、とぶつぶつこの境遇を悲しんでいる。何とも情けない事だが、早く寝てこの時を過ぎ去らせてしまう事しか出来ない。

翌朝、朝練があった。細君は心配なので寒いギャ ラリー席に毛布を持ち込んで見ていた。マサイも家にいて心配でしようがないのだが、メールで調子を聞くことも恐くて出来ない。風邪の菌を代わりに引き受け てやれるものならそしてやりたいが、そんな事も出来ない。ただ祈る事に専念する。癒しの御手を信じるしかない。ここにもきっと神の計画があるはずだ。

ローマ人への手紙8:28
神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。

しかし調子は徐々に上がってきたようで、最後に測ったタイムでは完全に復調の兆しが見えた。本人もそれで自信をつけたらしく気力が戻ってきている。家に帰ってきても饒舌になって来た。

一週間たってやっと完全復活した。何とか間に合った。ほっとしていると、「ボクが風邪をひいた時、もう決勝は駄目だと思ったでしょ。いつも僕のこと信じてるっていっているのに・・・」、と痛い所をつかれた。その件については、息子にちゃんと謝る。

ルカの福音書18:1
いつでも祈るべきであり、失望してはならないことを教えるために、イエスは・・・。

11月23日、息子は元気に新幹線に乗って大阪 へ出かけて行った。11月25日、200メートル自由形で決勝進出。本人、口には出さなかったが、緊張とプレッシャーで相当辛い思いをしていたらしい。予 選が終わって少し解放されたようだった。親としても、良くやったとすぐに抱きしめてやりたかったが、これから決勝へ向けて近くのプールへアップに行くと言 うので電話越しにそう伝えた。

結果、小学校5年生男子200メートルフリーは全国で8位だった。

黙示録19:1
ハレルヤ。救い、栄光、力は、われらの神のもの。


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