己を知る


急性筋膜炎になった。筋肉を覆っている筋肉の膜が切れたという診断だった。

 前夜は調子よくテニスをしていた。最後のゲームになって、ボールが右へそれた。誰も取りに行かないような コースに飛んでいたのだが、後衛にいたので猛然とダッシュして取りに行った。自分の足の早さを過信していたのは間違いない。無理だな、と思った後、今度は 足が止まらなくなった。走っている間に右腿がつったような感じがした。そのまま回転レシーブの態勢を取れば簡単に止まったのだろうが、そんな派手なアク ションもしていられない。で、右足首をひねりながらやっと止まった。

「足、大丈夫ですか?」とコーチに聞かれて、笑顔で「はい」と答えたが、足を完全に引きずっている。ラケット が杖替わり。伸ばしてみたが、痛い。レッスンも最後の最後だったので、そのまま終わって車に乗る。アクセルとブレーキを踏むたびに痛い。こういう日に限っ て道路工事の為に渋滞して進まない。

 家に帰って妻に見てもらう。外傷はない。素人はこういう時に温めれば良いのか、冷やせばいいのか分からな い。温泉療法という言葉が頭に浮かんで、風呂でゆっくり温まる。血行が良くなったので、気持ちがよくなった。ストレッチをしてみたが、右腿とひねった右足 首が痛い。伸ばそうと思えば何とか伸びるのだが、いつまでも痛い。つっただけではないようだ。

 サーフィンをしている時にもよく脹脛がつるのだが、主に水温が冷たいのと、無理にターンしようとしてひねっ た時にそうなる。体内のイオンバランスが悪いというのも原因の一つらしい。しかしその場合は直ぐに直って、また波間に浮かんでいられるのだが、今度は状況 が違うようだ。筋肉の断裂、とまではいかないだろうが、それに近い何かがあるかもしれない。

 一晩中痛くて眠れず、足の位置をあちこち変えていた。翌日一番で外科に行く。外科に行く機会はめったにない。8時半に行くと、一番乗りだった。

 事情を説明すると、すぐに分かったようだが、診察台に横になって触診してもらう。足は曲がる、膝は痛くな い、転んだわけではない、となれば骨に異常が出るものではない。右太腿の筋肉を覆っている筋膜が切れた急性筋膜炎です、という。冷やして、あまり動かさな いようにすること。風呂は温かくてその時は気持ちがよくなるが、温めてはいけない。日に湿布薬を2回張り替え、痛み止めを毎食後飲むように、という診断 だった。

 年相応にボールを追いかけた方が良いらしい。過信は厳禁。サーフィンの波情報に時々、「海に入らない勇気」 という言葉が出て来る。波が大きくなって来た時に、その波に向かって行く勇気ではなく、無理をせずに入らないでいる勇気。自分のレベルを良く考えて、海に 来たからにはどうしても入らないと、という考えは捨てるのが大切だということ。

 頭でできる、と考えていても、体がついて行かない年齢になっているらしい。スポーツを楽しむ為にも、自分に頼ったり、思いあがったりするのはいけない事だな、と反省する。

 自分の心に頼る者は愚かな者、知恵をもって歩む者は救われる。(箴言28:26)

 実はサーフィンでも先日波の上がってきた時に海に入って、喉に自分のボードの直撃を受けている。これも食道が切れたかと思うほど相当痛かった。この時に悟るべきだった。

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