「神様が老々介護を通して」


介護ネタが続きますが、前回の後日譚です。
予定通り5月31日に母を一泊のショートステイに送り出し、父は千葉の病院へ。3月初めに心臓周りの血管の詰まりを手術したのだが、その3カ月後検査がある。2泊3日の予定だが、異常個所が認められた場合、追加治療をすることになる。以前に一回そういうケースがあって、入院日が伸びたことがある。
父から母をやっと送り出したというメールが入る。父が帰ってくるまで6月1日は休暇を取ったマサイが、1日夜から2日にかけては細君が母の面倒を見るという予定なのだが、31日日中に父が出かけた後、母がしばらく一人になる。父は母を一人にすることを異常に心配するので、近所の老人用ショートステイ施設へ泊りに行ってもらうことになった。その送り出しをしたというメールであった。
31日夜、仕事が終わったところで留守番に実家へ行く予定だったので、帰り支度をしていると、ショートステイ先から電話が入った。母が訳が分からないことを言い始めているという。電話を代わってもらうと、本人は帰ると言い張っている。帰らないと父が心配だという。こんこんと説明をしても、私は何も聞いていないという。帰らなければならないという。そこから頑として意見が変わらない。どうして泊らなければいけないのか理解できないらしい。母は実家を空けることを極端に嫌がる。向かいの家に何度も泥棒が入られたことを気にしているようだ。そこはマサイが行くので心配するなと説得する。施設の人が一番困っただろうが、さすがに慣れているらしく、優しく対応してくれた。以前からこの件は家族で話し合って、母もその場にいたし、出がけに父から言われているはずだと言っても理解できない。何とか説得をして今晩は泊ることを納得させる。
電話を切った後、父からのメールに気付いた。
「施設から電話。F(母)が私の事が心配で家に帰ると困らせているようだ。電話があったら実情を説明してやってください。今の状態では理解できないかも?可哀想だ」
母の事を可哀想だと労わるようになったのは最近の事だ。母は言動に不思議な兆候が出ているのだが、夕方になるとこれが激しくなるらしい。いざ夜になって、やはり引き取ってくれと言われたら対応しないといけないので急いで実家へ。幸いなことに非常事態にはならずに済んだ。
翌朝、父からメール
「今看護婦の話しでは私の検査は二番目だという。順調なら午前中で終わる。通常なら右手首から挿入するが(カテーテルを)、数をこなしたので状態が悪く、今回は左手首からやるらしい。無難で終わることを願うばかりだ。」父も母が心配なようで、出来るだけ早く帰りたがっている。
その後検査は順調に終わったらしい。
「バンザイです。10時に呼ばれてカテーテル室へ。検査は15分ほど。医師の説明では、以前に治療した箇所は健在、血液の流れも良好とのこと。助かった。機器を挿入した場所の血が完全に止まっているなら明日午前中に帰れる。心配をかけた皆の応援に感謝します。」
と読んで安心する。
14時半頃母は施設の車に送ってもらって帰って来た。迎えるなり「パパは?」と聞く。まず父に会いたいらしい。父がどこにいるか思いだしてごらん、というと、頭がおかしくなっちゃうから、と思い出そうともしない。父が病院に行っていることについて、私は聞いていないという。そんなはずはないのだが、言った後はけろっとして父がいない状況を受け入れている。昨夕の電話の件についても何か言うかと思ったら、何も言わない。すでに忘れているようだ。お泊まりは「まぁ、楽しかった」という。4人部屋なのだが、広い部屋だったので他に人がいるのが気にならなかったという。カルテを見ると、水分もちゃんと定期的に摂っているし、夕食も食べている。ステイしている人たちと一緒に喋り、夕食後はちゃんと寝ていた。風呂にも入ってきたという。さすがにプロなのでマサイがやるよりちゃんと面倒を見てくれている。
母が帰ってきたことを父にメールで知らせると、すぐに電話がかかってきた。母の声が聞きたいらしい。入院中もずっと心配していたことが良く分かる。しばらく2人で楽しそうに喋っていた。退院の日時について喋っていたようなので終わった後に聞いてみると、そんなことは喋っていないという。何を喋っていたのかと聞くと、分からないという。
この後夜まで母と二人だったのだが、その不可解な行動や言動の連続は驚くばかり。本人悪気はないのだろうが、父がいつもこぼしているのはこういういうことかと納得する。
夜細君が来てくれた。細君は実に良く面倒を見てくれる。マサイは明日仕事があるので、交代して家に戻る。母の面倒を見るより、細君と離れている方が余程辛い。細君が大変な思いしないように神様にお祈りをする。 翌日父からのメール
「順調に帰って来ました。有難う。新築の大病院でのんびり過ごさせてもらいました。」
時間からすると、医師のOKが出て、清算を済ませた後、飛んで帰って来たらしい。父の顔を見て母は嬉しそうだった、と細君が教えてくれた。恋愛中の二人のような純なものを感じる。金婚式も随分前に済ませた夫婦が、老々介護をするようになってお互いに心通い合わせている。子の立場から見ていると、今までそんな親の姿を見たことがなかったで、実にほほえましい。神様が老々介護という機会を用いて、愛を教えて下さっていると考える。そのまま神様の愛にも気付いてくれると嬉しいです、とお祈りをする。神様よろしくお願いします。

伝道者の書
8:16 私は一心に知恵を知り、昼も夜も眠らずに、地上で行われる人の仕事を見ようとしたとき、
8:17 すべては神のみわざであることがわかった。

イザヤ書
26:4 いつまでも【主】に信頼せよ。ヤハ、【主】は、とこしえの岩だから。

創世記
2:21 神である【主】は深い眠りをその人に下されたので、彼は眠った。そして、彼のあばら骨の一つを取り、そのところの肉をふさがれた。
2:22 神である【主】は、人から取ったあばら骨をひとりの女に造り上げ、その女を人のところに連れて来られた。
2:23 人は言った。「これこそ、今や、私の骨からの骨、私の肉からの肉。これを女と名づけよう。これは男から取られたのだから。」
2:24 それゆえ男はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのである。