「おふくろの味が」


母は随分元気になってきた。月刊マサイ188号で、骨粗鬆が原因の「腰部脊柱管狭窄」と診断され、脊髄の3と5が圧迫骨折していた、と書いたが、順調に回復して今は背中もそんなに曲がっているようには見えない。訪問するたびに細君が台所に立って食事を作ってくれるのだが、母は厚手の肉でもぺろりと平らげる。82歳なのだが、食欲は落ちていないので安心する。
 母は、勧められて近所のデイサービスセンターに週一回行くようになった。車で送迎をしてくれるという。8月に初めて行った時は、体温、血圧を測り、体操、リハビリ、足温浴、ボディプラス(わずかな上下運動で効果的な動きを作るもの)、エアロバイク、ドクターメドマー(空気圧を利用した波動型の医療用マッサージ器具)、脳トレ、をやってきた。「本日はご利用有難うございます。皆様とお話をされたり、いろいろ挑戦されたりしていました。お疲れかもしれませんので、今日はゆっくりお休み下さい」というメッセージと実際にやっているところのスナップ写真をプリントした挨拶状をもらってきた。パンフレットを見ると、機能訓練と効果的な介護予防、機能向上効果のリラクゼーションで素敵な笑顔を応援します、とある。
その後、週一回、毎週金曜日に通っている。折り紙やら塗り絵やらが配布されて楽しく時間を過ごしているようだ。良い人たちばかりだ、と言っている。本人がとても気に入ったので、週に1回ではなく、もっと頻繁に行っても良いのだが、今度は父が母を離さない。母が不在の間に自分が一人で倒れたらどうする、という心配に取りつかれているらしい。母を一人自宅に置いて、病院に行ったり、外出したりするのは心配なので、デイケアに行っている間にそれらをしたいと言っていた割には、いないと不安になるようだ。
 体の心配なくなってきたのだが、物忘れがひどくなった、と父は言う。確かに時々訳の分からないことを言う。細君と2人で訪問中に、さっきいた孫(我が息子)はどこに行った?と聞く。我が息子は一人っ子であるのに、お兄ちゃんの方は〜、とあたかも弟がいるような話をしたりする。しゃべり方はしっかりしているのだが、本気で言っているのかとぞっとする時がある。
残念なことに老化は舌にまで及んでいるらしい。おふくろの味が食べられなくなった。我々の訪問時には、息子(マサイ)が好きだったからとおかずを作っていてくれるのだが、その味が変わって来ている。きんぴらごぼうに今まで入っていたことがないニンニクや肉が入っている。焼豆腐は味が全く違う。どちらもマサイの子供の頃からの好物である。母はちょっと失敗したと言うが、最近その失敗が度重なるようになった。実家では言えないが、味付けは確かにおかしい。骨折が治るまで調理から遠ざかって、買ってきた惣菜や冷凍物を食べる機会が増えていたからかもしれない。本人はご飯があれば十分だと言っている。うどんやパンではだめらしい。悲しいことであるが、マサイの好物は、細君がその味を受け継いでくれるという。
 マサイが息子目線から見て大丈夫そうな84歳と82歳になる両親のことは、細君が毎朝祈ってくれる。私にはもうマサイの両親しか親はいないからと日頃言ってくれているので、いつも細君には感謝している。両親が不慮の事故や事件に巻き込まれないように、認知症にならないように、介護ノイローゼにならずに日々楽しく過ごせるように、まだ神様を受け入れていない両親が救われるように祈る。神様の恵みと祝福が両親の上にありますように、よろしくお願いします。

詩篇
103:15 人の日は、草のよう。野の花のように咲く。
103:16 風がそこを過ぎると、それは、もはやない。その場所すら、それを、知らない。
103:17 しかし、【主】の恵みは、とこしえから、とこしえまで、主を恐れる者の上にある。主の義はその子らの子に及び、
103:18 主の契約を守る者、その戒めを心に留めて、行う者に及ぶ。
103:19 【主】は天にその王座を堅く立て、その王国はすべてを統べ治める。