「最近ちょっと心配で」


5月の連休に実家に帰った。息子は合宿中なので、細君と2人で出かける。高速道路を使わない方が却ってストレスが少なく、着く時間もあまり変わらないということが分かった。
父親は見た目変わらないようだが、来月83才になる。自転車で買い物に行っているというが、そろそろ心配だ。自動車の運転免許を持っていないので、自転車で少し離れたスーパーへ行っている。運転している分には良いが、事故回避などできるのだろうか。おまけに前かごに買ったものを乗せてではハンドルもぐらつくのではないか、考えれば考えるほど心配は増す。心臓付近の血管手術を行った千葉の病院から、近所の大学病院へカルテを移籍したという。いざとなれば電車にも乗らずにすぐに行かれる距離になったので、少し安心しているようだった。年をとってきたので、訪問しても一日中ずっと歓談というわけには行かない。マサイも運転の疲れで居眠りをしてしまうのだが、父親も適当な時間に昼寝をしに行く。今回は細君が床屋さんセットを持って行って、父の散髪をしてくれた。庭に座って嫁に髪の毛を切ってもらって嬉しそうにしていた。
母親は、自分の母親(マサイの祖母)もそうだったが、老いが足に来ている。ショッピングカートのようなものを押しながらなら歩ける自信があるようだが、外歩きは心配である。耳も遠くなっている。悪くなったのか、ずいぶん前から聞こえにくかったのかは分らない。マサイの声の周波数は聞き取りにくいらしく、昔から何度も聞きなおされていた。
しかし二人とも食欲は十分ある。昼食は食材を持って行って細君が肉料理を作ってくれた。年寄り2人では普段なかなか肉料理で満腹というわけもいかないだろうが、食べて元気になってもらった方が良い、と大きめのポークステーキを焼いて出した。皿に乗って出てきたものを見て食べきれるか、と思っていたようだが、全部食べてくれた。母親も同じ量を食べた。その食欲を見て安心した。
間に生命保険会社の女性が入って、いろいろな手続きを手伝ってくれているのだが、ある日仕事中に電話がかかってきて、お母様が銀行印をなくされたので、その手続きに時間がかかりますと言う。銀行で紛失届や変更届を提出するのに手間取ったらしい。おまけに地方銀行の年寄り対応が良くなかったらしい。何処かへ外出する時に持っていくものでもないので、家の中のどこかにあるのであろうが、どこにしまったかが分からなくなったらしい。結局出てこなかった。
その更新したばかりの印鑑をまた母がどこかに置き忘れたと連絡が入る。また大騒ぎになったらしい。「確認して仕舞った金庫から契約書類ごと出して、記憶喪失、しかし今回は見つかったが、最近おかしい」と父がメールで知らせてきた。その前になくした方は出てきてもどうにもならないから探さないことにした、という。
そういう状態だから父の母に対応する態度が以前と違っていた。見ていて感じたのだが、母は体の具合が原因になるのか、わがままになっている。その母が何を言っても、父は言い返さずに受け止めて面倒をみている。随分変わったなと、見ていて思った。
先日、日付が変わる直前に細君のスマホに母の携帯から着信があった。すぐに出てくれたのだが、何も言わずに切れた。普段早く寝て早く起きるのを自慢していたのに、すわ、と思い折り返すと出ない。家の電話にかけて父親を起こすが、携帯をいじっているうちに発信してしまったことにすら気づかないのかもしれないという。却って具合の悪い父親を起こして悪いことをしてしまった。
買い物に行かなくて良いように、食材を宅配してくれる埼玉の事務所に細君が電話をして手配をしてくれたのだが、印鑑をなくしたために銀行引き落としがすぐにできない、というのが分かった。事務所の男性も年寄り相手なので親切に対応してくれたのだが、外出しなくても良いように宅配に加入してもらおうと思ったのに、支払い手続きのために銀行に行かなければならなくなった。電話に出てくれた男性は、登録だけして、休止にしておいても構わない、必要になったらすぐに始められるようにしておいた方が良いでしょう、という。年寄りの場合、いざ始めようと思った時にはもう登録書が書けない状態になっていることもあるので、と親切に教えてくれた。
その手続きも宅配会社が丁寧に対応してくれたおかげで無事に済んで、宅配会社の男性からも、父からも細君宛に報告の電話が入った。5月末には「宅配で買い物は楽になりそうだ」というメールが父から来て、少し安心した。いくら車を飛ばしていけば行かれる距離だと分かっていても、どうにかしなければいけないとマサイも常々考えている。しかし考えているだけで今は何もできていない。実際に動く時が近いのかもしれない。介護を始める年に近づいているようだ。毎日マサイも祈っているし、細君も祈ってくれている。神様どうしたらよいかを委ねます。時、タイミング、方法を示してください。お願いします。

イザヤ書 46:3 わたしに聞け、ヤコブの家と、イスラエルの家のすべての残りの者よ。胎内にいる時からになわれており、生まれる前から運ばれた者よ。
46:4 あなたがたが年をとっても、わたしは同じようにする。あなたがたがしらがになっても、わたしは背負う。わたしはそうしてきたのだ。なお、わたしは運ぼう。わたしは背負って、救い出そう。

エレミヤ書
10:23 【主】よ。私は知っています。人間の道は、その人によるのでなく、歩くことも、その歩みを確かにすることも、人によるのではないことを。