1年前の約束


妻の誕生日は4月15日である。今年はたまたまイースターの日となった(ちなみに来年のイースターは マサイの誕生日である)。昨年の5月号を読んで覚えていてくれた人は少ないと思うが、「私の来年の誕生日には何でも良いから、食事を作ってちょうだい」と いう妻の提案によって、1年後の誕生日には夫が料理(夕食)を作る事になった。

これは料理をやった事のある人、出来る人には何の問題もない提案なのだろうが、マサイはボーイスカウ ト時代のキャンプでの食事作り以外経験がない。ただ温めるだけとか、そうめんやうどんを茹でる、というのは得意であるが、それ以上は出来ない。自信を持っ て出来ないと言える。

  そこで「初心者が作るおいしいおかず」という本を買ってくる。お米のとぎかたから、野菜の切り方まで細かく書いてある本を選ぶ。いきなり4月に作るのでは自信がないので、何回か予行練習をしてみる。

  その第一段が11月18日に作ったポークカレー。調理時間1時間10分と書いてあったのだが、そ れをはるかにオーバーした。カレーぐらい作ったことあるだろう、と言われそうだが、まったく始めて。本に書いてある通りに丁寧に進めて行く。一番難儀だっ たのは、たまねぎ。うわさには聞いていたが、ぼろぼろ涙が止まらないし、とにかく目が痛いし、開けていられない。そこでスポーツバックから水泳のゴーグル を取り出して、これをかけて玉葱を刻む。怪しい風体で台所に立ち、切り、炒める。これをあめ色になるまでしっかり炒める、と書いてあるのだが、一向にあめ 色のならない。白いままである。しかもこんなに、というほど沢山ある。延々と炒め続ける。それでも出来あがったものは、大きな具が沢山入った見た目も美味 しそうなものになった。息子用の辛くないカレーも同時に作ったのだが、なんとか格好がついた。

  次に挑戦したのがハンバーグ。これは今年の1月8日にいきなり思い立って作り始める。これにも玉 葱が出てくる。妻に「玉葱を使わなくて良い料理などないんだから、諦めなさい」と言われる。妻は全く平気である。今度はみじん切り。最初からゴーグルをし てやったので、大丈夫だった。トマトケチャップでソースと作るものと、和風おろしの2種類を作る。こねていた時よりはるかにハンバーグが大きくなったのに は驚いた。ぱんぱんにふくらんだコロッケのようなハンバーグが焼きあがった。つけあわせはプチトマト、にんじんのグラッセ、ブロッコリー(ブロッコリーは ゆですぎたか、見た目が良くない)。

  そして本番。4月15日はイースターで忙しくなるので、前日の14日に作る。メニューは肉ジャ ガ。自分の一番好きなものを選択する。これにほうれん草のおひたしと、冷奴、味噌汁を作る。3回目なので、少しは余裕が出来ている。妻が息子をスイミング に連れて行っている間に、バースデーカードを書いてから始める。ジャズのCDをかけながらという余裕も出てきた。

  またも天敵玉葱がいるが、ゴーグルに助けられる。多めに作るつもりで切った材料を鍋に一度に入れ ると、溢れ出しそうな量になった、慌てて鍋をもう一つ出して、別々に炒める。玉葱がしなって来たところで再び合体。これは所要時間1時間45分で出来た。 ただ砂糖の量が少なかったので、味が少し薄めであった。指定された量があまりに多すぎるように思って減らしたのが原因。本の通りにやればよかった。

  毎回妻も息子も喜んで食べてくれる。それだけで有難い。しかし1年の内に3度作ったとはいえ、買 い物は妻に付き合ってもらわないと出来ない。普段買い物も付き合った事がないので、妻は嬉しそうにしている。土曜の午前中の買出しはお父さん方が多い。休 日の光景なのかもしれない。

  とにかく厨房になど立った事のない、何も出来ないのがまがりなりにもやれた秘訣は、料理を始める前に祈った事。旧約のようにとても獣をほふり、というところまではいかないが、何事も祈ってからやれば主に守ってもらえるという確信はある。 

  ピリピ人への手紙4:13 私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです。  次は餃子を作ってくれという。イエス様、隣で一緒にエプロンをしめてください。
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