「新たな生活の始まり」


高校の卒業式からあっという間に一ヶ月経った。いろいろなことが詰まった一ヶ月だった。引っ越し騒ぎでゆっくり花見をする暇もなかったが、4月1日火曜日、入学式の日は見事に晴れ上がり、桜も満開になった。昼頃早めに出て桜の下で3人並んで写真を撮る。大学生ともなると制服がないので、入学式にはスーツを来ていくのだが、買ったばかりのスーツは背中が早きつそうだ。立派な息子のスーツ姿を見て、ここまで無事に育てられたことを主に感謝する。
電車に乗るとひと目でそれと分かるような、スーツ姿の若者と正装をした親の組み合わせがたくさん乗っている。もう大学生なのだから一人で行かせれば良いのにと言われそうだが、マサイの母親も大学の入学式まで来てくれた。卒業式は来なかったように記憶する。だからマサイの公式行事もここまではと決めて楽しみにしていた。会場に着いて保護者が随分来ているのを見て安心する。
広いホールだが、人数が多いので学部別に入学式を行っている。息子は入口で水泳仲間と待ち合わせて一緒に会場に入って行った。先に入る、とこちらに向かって手を振ってくれた。何気ない別れの合図だが、これでしばらく会えなくなる。一緒に家は出たが、帰る場所は別、ということにまだ慣れていない。中に入って水泳部監督の教授を見つけて挨拶をする。
 1時間強の入学式。学長は式辞で創立の歴史や校章の由来を説明してくれた。「本学の歴史の証人としてこれを引継ぎ、次なる歴史を創造する主体者となってほしい」、と述べ、理事長は、精神的な自立の必要性を述べ、「大学生活の全ては各自の自由な選択と判断に任されている。ただし、そこには自己責任が伴うことを忘れてはならない」と続ける。選択と判断については一人暮らしになっても必ず神様に祈ることを言い聞かせてきた。イエス様よろしくお願いします。
終わって息子は体育会系特有の歓迎会があるというので、先輩たちに連れられて寮に帰っていった。後で聞くと、高校の時も似たようなものがあったので覚悟をしていたのでよかったが、おびえていた子もいたという。高校の時の方が印象は強かったらしい。
入学式が終わって何となく身軽になったような思いがしている。細君と18年半振りにまた2人きりになったということをそれによって知るのだが、それが寂しさにはまだつながっていない。毎晩トレーニングから遅く帰ってくる息子
を待つ生活は終わったのだ。食事をとって、ゆっくりコーヒーを飲んでから帰る。家の中が急に広くなったように感じた。 息子の新たな生活の始まり。月〜土曜、1時限目の授業があるときは、朝4時20分に起きて、電車で学校へ、学校のプールで2時間泳いだ後、授業を受ける。帰りにスーパーで食材を買って帰宅後調理、17時30分から別校舎へ筋トレに出かけ、帰宅後夕食、そして10時には就寝。1時間目の授業がないときは4時起きで近所のスポーツクラブのプールへ、その後授業、という規則正しい生活をやっている。
生活をしてみて、ないと不便なものがいろいろ見つかったようだ。持ってきて欲しい物のリクエストがスマホに来る。書類に貼る写真、ルーズリーフのファイル、雨の日に靴を乾かすための古新聞、灰汁取りなど。食事は毎晩自炊をしているが、おたまで灰汁をすくうので、どんどん中身が少なくなるという。そのための灰汁取り。それを雨の中、仕事から帰って届ける。
細君は時々、こみあげてくる寂しさがあるという。それが家で息子の部屋に入った時ではなく、TVの録画予約に息子の名前が無くなっているのを見つけた時とか、玄関に息子の食べかけのキャンディーを見つけた時とか、ひとり暮らしのため一緒に買い物に行った100均に入った時など、いろいろな記憶に結びつくものがあるらしく、それが琴線に触れるといきなり涙腺が緩むという。特に夕方になると寂しくなるらしい。自立する前は、私はやり遂げた感があるから大丈夫だけどパパの方が寂しがって大変だろうと予想していたようだが、マサイが大丈夫なのを見て驚いている。
1ヶ月たって、体重が4kgも減ったと驚いて電話がかかってきた。本人も随分心配して、先輩に相談した後電話をしてきたようだ。まず受けた細君が心配している。今までが21時半まで泳いでいて、帰ってくると22時半、それから食事、風呂に入るとすぐに寝る時間になる、という食べてすぐ寝る生活が良いわけがないと思っていた。それが大学に入って朝方の練習になったために、却って規則正しい生活になって、適正体重に戻ったのではないか、とマサイが言うと安心していた。
金銭管理もきっちりやっているようだ。今まで定期的に小遣いを渡すという習慣がなかったので心配していたが、レシートも全部取っておいて、細君にこのスーパーは安い方かと判断を仰いでいる。学校のそばや、帰ってきた駅前に随分安いスーパーを見つけたようだ。バランスを考えた食事は、作り置きをして冷凍したものを電子レンジで温めて食べているという。学食へご飯を持っていくと、オカズだけ買えば良いので安上がりに済むらしい。おにぎりにしたり、タッパーに詰めたりしてご飯を持って行っているという。
さぞや金欠状態で苦しかろうと思って5月の生活費を振り込んだら、随分残金があった。本人もこの残金を見て、もっと肉を買ってきて食べて大丈夫だと思ったらしい。一番心配していたのは食事だが、全く問題ないようだ。1年生の仲間がご飯持ち寄りで息子の部屋に集まり、キムチ鍋やお好み焼きパーティーをやったという。話を聞いていると実に楽しそうだ。
今まで家でやったこともなかったことを、実に自然にやっているのには驚く。分からないことは細君によく質問している。いろいろな生活上の知識を急速に細君から吸収しているようだ。その度に「有難う
とお礼を言ってくれるのが親としてはとても嬉しい。毎日主に感謝し、祈り、主の道からそれないように真っ直ぐに歩んでいってほしい。己の内からイエス様を光り輝かして、周りの仲間たちを包み込む存在となるように、祈っています。

箴言
4:10 わが子よ。聞け。私の言うことを受け入れよ。そうすれば、あなたのいのちの年は多くなる。
4:11 私は知恵の道をあなたに教え、正しい道筋にあなたを導いた。
4:12 あなたが歩むとき、その歩みは妨げられず、走るときにも、つまずくことはない。
4:13 訓戒を堅く握って、手放すな。それを見守れ。それはあなたのいのちだから。
4:14 悪者どもの道に入るな。悪人たちの道を歩むな。
4:15 それを無視せよ。そこを通るな。それを避けて通れ。
4:16 彼らは悪を行わなければ、眠ることができず、人をつまずかせなければ、眠りが得られない。
4:17 彼らは不義のパンを食べ、暴虐の酒を飲むからだ。
4:18 義人の道は、あけぼのの光のようだ。いよいよ輝きを増して真昼となる。
4:19 悪者の道は暗やみのようだ。彼らは何につまずくかを知らない。
4:20 わが子よ。私のことばをよく聞け。私の言うことに耳を傾けよ。
4:21 それをあなたの目から離さず、あなたの心のうちに保て。
4:22 見いだす者には、それはいのちとなり、その全身を健やかにする。
4:23 力の限り、見張って、あなたの心を見守れ。いのちの泉はこれからわく。