「防火防災管理者になる」


 会社で部署が変わったので、まず独学ではあるが簿記の勉強を初めて、次にBS、PL、CSと財務諸表について学んできた。決算書や株主総会へ向けての資料がやっと出来上がったところで、今度は甲種防火管理者と防災管理者の資格を取るために、東京消防庁の講習を2日にわたって受けてきた。
 立川消防署に隣接する防災館で120名が一緒に講習を受ける。いろいろな業種、男女、年齢様々な人達がいた。参加申し込みをしたのが随分前だったので、席が最前列だった。始まるまでは、実際にあった災害のビデオでも見て、寝ないように頑張っていれば良いのだろう、会社にいるよりは楽に過ごせる、と甘く考えていた。
 ところが9時から17時まで、2日間で講義9コマ、実技2コマと昼休み1時間をはさんでびっしり講義は続く。国家資格になるものなので、甘くはない。最後にはテストがあり、それをクリアしないと資格は取れない、というので真剣に聞いていた。普段会議でも集中力が続くのは短い時間だというのに、頭をフル回転させる。
 防火防災管理者は、災害時に皆を先導して逃げる、というのが役目であると思っていた。しかし実は何をするかというと、管理権限者(企業の責任者)の元、消防計画を作成し、消防署に提出。火災、地震、その他の災害時には社員を安全に誘導避難させ、初期消火活動を行い、延焼を防ぐ算段を迅速にとり、怪我人を応急救護する、など消防救急隊が来るまで自衛消防に当たり、専門家到着時には現況を報告し、速やかに引き継いで非難する、というもの。最後まで現場に残り、人名を守る、重要な役目である。
 防火については消防法第8条、防災については36条に規定がある。読んでみると、知らないこととはいいながら、実にいろいろなことが定められている。3冊買ったテキストの中で一番分厚いものが法令集だった。消防に関するだけで、こんなに知らない法律がたくさんあるのかということに驚く。知らずに過ごしているが、この法令に守られていることはたくさんあるのだろう。
1日目は翌日のテストに備えて、帰宅後も復習をしっかりした。テストを受けるのは実に何年ぶりだろう。なぜか随分緊張している。引掛けのような問題もあったが、無事に資格を習得した。
 今まで避難訓練と言われても何とか口実を見つけて避けてきたが、意識が一変している。会社に帰って、近隣の消防署へ管理者変更の届出を済ませた。社内では、消化器、消火栓、防火戸、スプリンクラーの場所や避難経路を確認し、災害時に落下する可能性のあるものを排除する。普段は気にしなかったそれらが自然と目に入るようになった。有事の避難先は2階の中庭なのだが、マサイの会社は海に近い。津波予防ならば、下に降りずに、却って上に行く方が安全だ。どちらに誘導するかは管理者の判断になる。建物には立派な防災センターがあってそこに統括管理者がいるので、実際は一人の判断ということはないのだが、人命を考えると、随分重い責任を負ったものだ。
 しかし最近は何事もこう思うことにしている。会社の役割にせよ何にせよ、与えて下さるのは全て神様。神様はマサイならそれが出来ると思ったので与えてくださる。だから出来ないわけがない。こう思うと安心して何でも乗り越えていくことができる。災害時には管理者がまず祈って対応するので、みんなを安全に導くことができる、と確信している。

ヨシュア記
1:9 わたしはあなたに命じたではないか。強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたの神、【主】が、あなたの行く所どこにでも、あなたとともにあるからである。」