手すりがつきました


東日本大震災から1年経ったが、まだ時折関東でも大きな揺れが来る。時にはその揺れより、携帯電話の緊急地震速報着信を知らせる音の方に驚く。会社にいる時は、地震を感じると真っ先に細君に安否を確かめる連絡を入れるのだが、次に心配になるのは我が親。今年80才と78才になる2人なので、さすがに心配になる。携帯電話かパソコンに安否を問うメールを入れるのだが、余程大きいと、電話をする。

メールの場合、すぐに返信が来る。
「今朝の揺れは夢心地。どうにかなれーの心境で起きなかった。F子さん(母)は着換えて起きてしまったようだ。」
朝の4時20分頃の地震だったが、元気そうで安心する。が、時にはこんなメールをもらって心配になることもある。
「二階の出窓から身を乗り出して屋根から突き出てきた雪を払い落とすのには一苦労。凍って駐車場の屋根に落ちては大変。事前の防衛対策。F子さんもシャベルを手に奮闘。最近、非常に元気で安心。」

元気すぎるのも困ったものだ。送った側は、普通に近況報告をしているつもりなのだろうが、年が年なので、今転んで骨折などされたら、と読んでいる方は、気が気ではない。
「膝痛のために筋肉を付けようと、ちょっと離れた大型ショッピングセンターへ歩く。平地を歩くのはまずは大丈夫だが、駅の階段には閉口する。なんとか協力してやっています。」

何か運動をしようという考えは良いのだが、やりすぎては逆効果だと思って読む。親子で良く似ている、と言いたげな目で細君がこちらを見ている。未だにそうだが、母親は特に心配しすぎるような注意事項を常にくれる。それをうるさがっていたというのに、今度は同じような事を子どもから親へ事細かく言うようになった。

最近の一番の話題。
「市から高齢者対策の階段設置補助申請の許可が下りましたので、来週には市のアドバイザーと相談して実現に向けて動きます。1.2階のトイレ、玄関の降り口、風呂場にも手摺を。階段のほか、玄関の上がり降りに、外のポストまでの階段のところに、二階のトイレ、風呂場の中と外の計7箇所。1階のトイレは広く利用できるように外開きに改良することにしました。今になると改修する所が多々ある。2階の納戸内も整理をしたい。」

市に高齢者介護支援の申請を出せば、住宅改修費が受けられ、自己負担はわずかで改修ができるとアドバイスを受けて申請をすることにしたようだ。我が実家もそういう改修が必要になったのかと、改めて考える。

「念願の階段の手摺などが今日完成しました。」
写メが来た。しっかりした手摺なようだ。
「F子さんの高齢者支援1級が認められ(膝痛の診断が認められた)、補助金でトイレの外開きと風呂の二つ折りドアへの切り替えを間もなく行います。」

高齢者支援1級という言葉を何気なく読みとばすことができず、すわ介護か、と驚き、そろそろ一回顔を見ないと心配になってきた。で、思い立ったその日の朝、細君に「今日会社の帰りに寄ってくる」、といきなり言い出して、ホワイトデーのために焼いた自家製クッキーと、自家製パン2種類を、借りていたタッパーに入れてもらって出かける。

埼玉県の実家に夜訪問すると、元気に迎えてくれた、玄関からずっと手すりがついている。想像していたより立派で頑丈な手すりだ。トイレや風呂場の中にもついている。異様な印象はなく、色も周りと合っていて、自然な形で付いているのを見て安心した。2人とも嬉しそうにこの手すりをつたって歩いて見せてくれた。

夕食をとりながらゆっくり話して来た。日々やるとこはたくさんあるという。パソコンも楽しく使っているようだ。やることがあるので元気でいられる、というのを聞いて安心。2時間弱の滞在で帰ってきたのだが、行ってよかった。お互いに安心をした。

後でもらったメールは
「自家製のクッキーとパン、ご馳走さま。美味しかった。とたんにパン焼器が欲しくなり、目下考慮中です。F子さんはバナナ入りが気に入ったようすです。」

 我が家にあるものは何でも欲しがるようになっている。こういうやりとりをしながら、親と子の交流を喜んでいる。

「火曜日にトイレと風呂のドアの改修が決りました。また観にきてください。皆さんと一緒に。」
一人で訪問して親孝行をしたようなつもりになって満足していたのだが、なんだ、やっぱり嫁孫の顔を見せてあげないとダメか。でも喜んでくれる嫁と孫を持ったというのも大きな親孝行のひとつであろう。
 

箴言 23:24〜26
正しい者の父は大いに楽しみ、知恵のある子を生んだ者はその子を喜ぶ。
あなたの父と母を喜ばせ、あなたを産んだ母を楽しませよ。
わが子よ。あなたの心をわたしに向けよ。あなたの目は、わたしの道を見守れ。

エペソ人への手紙 4:2,3
謙遜と柔和の限りを尽くし、寛容を示し、愛をもって互いに忍び合い、
平和のきずなで結ばれて御霊の一致を熱心に保ちなさい。

月刊マサイで引用している聖書本文は、新改訳聖書第三版(©新日本聖書刊行会)を使用しています。
戻る