すまなかった


父の術後の回復は順調なようだ。精神的な不安がなくなったのが一番なのかもしれない。その後の体調をメールで聞くと、心臓は良いのだが、実は膝が痛くて、という。

医者はよく歩いて運動しろというが、歩くと膝に影響する。先日は歩き続けたせいで膝が痛くなり、近くの整形外科でレントゲンを撮ってきた。加齢からくる変形性膝関節症と言われ、ヒアルロン酸の注射を両膝に打ったという。これは円滑油代わりのもの。家にじっとしているのは苦痛だといって、よく歩くようだが、ゆっくり歩けば良いものを、むきになって歩いている姿が目に浮かぶ。こういう血は確実にマサイも受け継いでいるので良く分かる。

細君もそんなマサイの父母によくメールを送ってくれる。息子の中間試験が終わったという報告(点数もついでに)。大会の結果報告。学校での朝錬や大会の応援練習、クラブでの近況報告。「今朝は、4時起きでお弁当の用意をさせていただきました(汗)〜」のようなメールにも父は嬉しそうに、顔文字を付けて返信して来る。

ところがある時、妙にしんみりとしたメールが来た。細君が書いたことへの返事だったが、細君は責任を感じている。そんな変なことは一言も送っていないというので、見せてもらったら、なるほど普通のメールだ。

「・・・そういう息子の遅かったり早かったりする動きに、一緒に付き合い、一緒に食事をして、常にコミュニケーションをとっているパパもすごいです。いつも、パパには感謝しています。」

しかしここに感じるところがあったようだ。自分の子育て時期と照らし合わせて考えたらしい。

「表彰盾の写真有難う。遠く離れても形になる“努力の成果”を観て、孫の成長を心から喜んでいます。良く育ててくれました。
私は新聞記者という職業柄、朝出たらいつの帰りか分からない不定期な生活を過ごす毎日でした。他紙との競争の中にあって、いつ起きるか分からない事件待ちに、舞台の終了を待って夜間に俳優の取材をした芸能担当記者時代・・・。まるで時間のない生活でした。
スケジュールが立たないといえば主治医の医師のごとくで飛び回っていました。西武のT氏、TDLのK会長、ヤマハ、JAL、藤田観光、JTB・・・数々のトップと会食やゴルフと・・・忙しくて家族を省みなかった事が多かった。小田原からの遠い通勤ということもありましたが・・・。
家族でのコミュニケーションを怠ってしまった。ママのメールを読んで痛感しました。
F子(マサイ母)、H(マサイ)には“すまなかった”と反省もしています。
H(マサイ)は私を“反面教師”として、家族の絆をしっかりと守る努力をしているようですね。それで良いのです。パパ、ママ、息子、いつまでも“三本の矢”をしっかりと堅持し続けてください。
我々夫婦は常に祈っています。何よりもメールと写真を楽しみに。(*^_^*)」

親からこんな言葉を聞くのは初めてだ。そんなことは考えもしないのだろうと思っていたので、驚いた。「すまなかった」など、へりくだられると却ってこちらが恐縮する。面と向かって言葉でとなると、とても恥ずかしくて言えないだろうが、メールでは心の内を素直に表現できるようだ。

こちらはそんなことを言って欲しいとも思ったこともない。息子一家が仲良くちゃんとやっていると安心していてもらえればそれでよい。マサイは我が親を反面教師としているつもりはなく、ただ主に従っているだけなのだから。

ヨハネの福音書 5:19,20
そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。子は、父がしておられることを見て行う以外には、自分からは何事も行うことができません。父がなさることは何でも、子も同様に行うのです。
それは、父が子を愛して、ご自分のなさることをみな、子にお示しになるからです。また、これよりもさらに大きなわざを子に示されます。それは、あなたがたが驚き怪しむためです。

月刊マサイで引用している聖書本文は、新改訳聖書第三版(©新日本聖書刊行会)を使用しています。
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