カブト虫


夏は暑い。今年の夏は、30年以上前、子供の頃に体験したような暑さを思い出す。

 息子が「カブト虫好き?って隣の叔父チャンに聞かれた」と帰ってくるなりいきなり言う。隣とは言え団地なので、ベランダでつながっているの。早朝そのベランダで「ちょっと来て見て」とお父さんが娘さんを呼ぶ声が聞こえたり、息子さんとにぎやかに観察らしきことをしているのはうすうす分かっていた。雨の多い 時期は幼虫のようなものが、雨水排水用の溝を流れて来たこともあった。

  「家には籠がないから、すぐに買ってくるから、そうしたらちょうだい」って言っておいで、と返事をしに行かせたら、スニーカーの箱にカブト虫をつがいで1 匹づつ、土も入れてもらって嬉しそうに帰って来た。家の4歳児は実に嬉しそうにしている。去年は梅雨の時期にカタツムリを取ってきて、しばらく「ツムちゃん」といってペットにしていたが、飼育方法が分からず、可哀想なので逃がしてあげた。

 今度は立派なカブト虫だ。お隣のご主人に話を聞くと40匹くらい孵ったと言う。こういうことが大好きなお父さんであるらしい。昔なら竹で編んだ虫かごに西瓜、と相場は決まっていたが、昨今はそうでない事は聞いていた。西瓜を食べさせるとオシッコが臭くなるらしい。カブト虫専用の餌があるという。

  早速大型スーパーにカゴを買いに行く。大小様々なのがある。カブト虫やクワガタも売っている。まずはカゴ。2匹用だがあまり小さくては可哀想だと思ったが、普通のにする。それに土と、餌を入れたり登って遊ぶ時用の木がついている。人間が食べるようなカラフルな色のゼリーが餌だという。息子が好きなゼリーと良く似ていて、間違って食べてしまいそうだ。

 帰って虫かごに土を引いてやり、木をセットし、木のくぼみに餌を入れてやる。オスは目ざとく見つけて顔をつっこんだまま動かない。あっという間に1個なく なった。説明書にはお腹がいっぱいになったらやめるので、餌をやりすぎる事はない、と書いてあったが、次に入れてやった餌も同じように無心に食べ続ける。やっと落ち着いた頃メスがやってきて交代したと思ったら、こちらも一心不乱に食べ始めた。頭を突っ込んだまま動かないので、心配になって引き戻してやった ほどだ。

 夜行性らしく、昼は土の中に潜っている。どこへいったのか分からない時もある。カタツムリの時もそうだったが、一番熱心に見ているのは、妻だ。朝起きると一番に心配してやっている。餌を足したり、土に霧を吹きかけたりしている。

 こんな聖句を思い出した。マタイの福音書6章26節

 空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。けれども、あなたがたの天の父がこれを養っていてくださるのです。あなたがたは、鳥よりも、もっとすぐれたものではありませんか。

 カブト虫を見ながら天のお父様の偉大な御業と力強い約束に思いをはせる。天の父に養ってもらっているのは、空の鳥ばかりではない。我々は自分勝手に生きているようでいても、実は 天のお父様に養ってもらっているのだ。神の見えない御手が、確実に我々の行く先々に土を置いたり、木を備えたり、餌を置いたりして下さる。感謝します、 アーメン。

戻る